中小企業でAIが定着しない、たった一つの理由
ツールが難しいからでも、社員のリテラシーが低いからでもありません。AIを進める担当者が社内にいないからです。10〜100名規模の会社で実際に起きていることを整理しました。
「ChatGPTは触ってみた。でも、そこで止まっている」
従業員10〜100名の会社の経営者と話すと、ほぼ必ずこの話になります。ツールは知っている。重要性も分かっている。それでも半年前と何も変わっていない。
難しいから止まっているのではない
よくある説明は「AIは難しいから」「社員のリテラシーが足りないから」です。しかし現場を見ると、そうではないことが分かります。
ChatGPTに議事録を貼り付けて要約させる作業は、Excelの関数より簡単です。難易度の問題なら、とっくに広まっているはずです。
止まっている理由は、進める担当者がいないからです。
社長が担当になると、必ず止まる
AI担当者がいない会社では、社長が担当を兼ねることになります。そして、こうなります。
- 社長が担当になる
- 本業が忙しくなる
- AIの検討が後回しになる
- 誰も使わないまま、話が消える
これは意志の問題ではありません。構造の問題です。専任がいない仕事は、必ず優先順位の下に落ちます。
「全社導入」から始めると、さらに止まる
もう一つ、よくある失敗があります。全社に一斉に展開しようとすることです。
全社導入には、ルール作り、研修、アカウント管理、効果測定が必要になります。準備だけで数ヶ月かかり、その間に熱が冷めます。
現実的なのは逆です。一つの業務、一人の担当者から始める。その人の仕事が実際に楽になれば、隣の人が「それ、うちの仕事でもできる?」と聞いてきます。広がり方が変わります。
最初の一歩は「昨日の仕事」から
どの業務から始めるかを決めるとき、私たちは必ずこう聞きます。
昨日、どんな仕事をしましたか。朝から順番に教えてください。
「AIで何ができますか」と聞かれても答えは抽象論にしかなりません。しかし「昨日の仕事」なら誰でも答えられます。
聞く相手は社長ですが、対象がその方の仕事とは限りません。現場で滞っている業務のほうが効果が大きいこともあります。その場合は、実際にその仕事をしている方から直接うかがったほうが早く、正確です。
いずれにせよ、次の3つで絞り込みます。
- 一番時間がかかった仕事は?
- 一番面倒だった仕事は?
- 一番繰り返している仕事は?
この3つが重なるところに、最初にAIへ引き継ぐべき仕事があります。
まとめ
AIが進まないのは、AIが難しいからではありません。進める人がいないからです。
裏を返せば、担当者さえいれば進みます。社内に置けないなら、外に置くという選択肢もあります。